ひと昔前は、「ラジオディレクターの七つ道具」といえば、オープンリールの編集キット(スプライシングテープ、リーダーテープ、ダーマトグラフ、セラミックのハサミ)とか……
お、今でも売ってるんだ。っていうか、もの凄く高いねえ。
あとは、ラジオ付き WALKMAN、ポータブル CD プレイヤーとか。
カセットテープもまだまだ現役の時代。特にラジオ付き WALKMAN は、オンエアを聴くラジオとしての役割はもちろん、同録やレコードメーカーからのサンプル音源(昔はまずはカセットで配られていた)を聴いていた。
ちなみにこの写真は、1990年代に実際に使っていたもの。SONY の AM ステレオ対応(!)の WALKMAN はこの1機種しか出なかったはず。
で、そのうち、ポータブルの DAT や MD が発売されるようになり、街頭インタビューやラジオドラマの効果音収録などがいつでもできる!とバッグの中に入れることが多くなった。
最初に自分で買ったのは、この MD WALKMAN。それまで肩掛け式の大きく重い DAT のデンスケを使っていたことを考えると、毎日持ち歩けるというだけで格段な進歩があったのだ。
そして、ポータブル DAT にも随分と活躍してもらった。これは SONY の DAT 10周年記念モデルのプロ仕様(値段も高かった!)。圧縮された MD とは比較にならない素晴らしい音質は、テープメディアという不便さを凌駕するものがあった。
これらの「七つ道具」の数々は、作業のデジタル化とノート PC、スマートフォンの普及で、どんどん姿を消していったのだが、20年以上前から変わらず現役のツールも存在する。
その代表格がこれ。
音楽業界・放送業界に特化したこのストップウォッチには、いくつかの大きな特徴がある。
- 60進法の計算ができる。
- 最小単位が「1秒」。1/10 秒や 1/100 秒の概念がない。
- 実際の現場の声を反映したデザイン(初代より一回り大きくなった結果、ちょっと大きすぎるという意見もある)
もちろんメーカー現役。そして Amazon でも買える。定価は税別14,000円だから、Amazon のほうがだいぶ安いね。
生放送でも録音番組でも、確実に時間の枠に収めないといけない放送の現場では、時間管理はもっとも大切なことのひとつ。
ただ、最近は、iPhone アプリの「時間計算」を使うことが多いのも事実。なんといってもこっちは240円で充分に高機能!(こちらも現役のラジオマンが作ったアプリなので、とにかく使いやすい)
ただ、公開収録や生放送など、動きの多い現場では、物理ボタンがついている SOUND PRODUCER のほうが安心、安全なのも確か。
実際には、アプリとストップウォッチの併用で使うことが多くなった。